食糧難の当時、食糧の需給は食糧管理法により厳しく制限されていました。
Xは食糧不足を補うために、許可なく白米1斗、玄米2升を購入し、自宅に持ち帰ろうとしましたが、その運搬途中に検挙され、食糧管理法違反で起訴されてしまいました。
Xは「憲法25条は生活権を保障しており、現在の配給食のみでは生活を保持し、健康を維持することはできないから、国民が不足食糧を購入し運搬することは生活権の行使であり、これを違法とする食糧管理法の規定は憲法違反である」と主張して、飛躍上告(高裁を飛び越えて最高裁に上告すること)しました。
☆関連憲法条文は?
憲法第25条【生存権】
1項 「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の
生活を営む権利を有する。」
2項 「国は、すべての生活部面について、
社会福祉、社会保障、及び公衆衛生の向上
及び増進に努めなければならない。」
☆争点 憲法第25条は、国民が直接行使できる具体的な権利ではなく、国家の責務を宣言したものにすぎないのか?
Yes、そのとおり。
憲法25条は、積極主義の政治として、すべての国民が健康で文化的な最低限度の成果を営み得るような国政を運営すべきことを国家の責務として宣言したものである。
それは、主として社会的立法の制定及びその実施によるべきであるが、かかる生活水準の確保向上もまた国家の任務のひとつとせられたのである。すなわち、国家は、国民一般に対して概括的にかかる責務を負担し、これを国政上の任務としたのであるけれども、個々の国民に対して具体的、現実的にかかる義務を有するものではない。
言い換えれば、憲法25条1項により直接に個々の国民は、国家に対して具体的、現実的にかかる権利を有するものではない。社会的立法及び社会的施設の創造拡充に従って、初めて個々の国民の具体的、現実的の生活権は設定充実されていくのである。
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