46・苫米地事件(最高裁昭35年6月8日)

 昭和27年、第3次吉田内閣により、抜き打ち解散が行われました。
 (それまでの衆議院解散は憲法69条の不信任案の可決か、信任案の否決でのみと限定されていました。そういう時代に、突然、憲法7条根拠の衆議院解散を行ったため、当時の衆議院議員たちは初の7条根拠の解散に驚き『抜き打ち解散』と呼びました。現在では珍しくはなく、むしろ7条根拠の解散の方が多い。小泉もやったしね。)
 この解散に対して、当時、衆議院議員であった苫米地氏(『とまべち』と読む)が、前例の無い7条解散は違憲であるとして、衆議院議員たる地位の確認と歳費の支払いを求めて出訴しました。

☆関連憲法条文は?
 
  憲法第76条【司法権の帰属と裁判官の独立】
    1項  「すべて司法権は、
        最高裁判所及び
        法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」
    2項  「特別裁判所は、
        これを設置することはできない。
        行政機関は終審として裁判を行うことができない。」
    3項  「すべて裁判官は、
        その良心に従い独立してその職権を行い、
        この憲法及び法律にのみ拘束される。」

☆争点1 衆議院の解散は違憲審査の対象となるか?
  No、ならない。

  現実に行われた衆議院の解散が、その依拠する憲法の章条について適用を誤ったが故に、法律上無効であるかどうか、又、解散を行うにつき憲法上必要とせられる内閣の助言と承認に瑕疵があったが故に無効であるかどうかは、裁判所の審査権に服しないものと解すべきである。

☆争点2 高度に政治性のある国家行為は、司法審査の対象にならないのか?
  Yes、ならない。

  直接、国家当地の基本に関する、高度に政治性のある国家行為のごときは、たとえそれが法律上の争訟となり、これに対する有効向無効の判断が法律上可能である場合であっても、かかる国家行為は裁判所の審査権の外にあり、その判断は主権者たる国民に対して政治責任を負うところの政府、国会等の政治部門の判断に委ねられ、最終的には国民の政治判断に委ねられているものと解すべきである。
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